Edible(食べられる)着られる(Wearable)な植物の代表格といえば、やはり大麻になってきます。日本では麻薬の一種としての認識が一般的なようですが、大麻の中でも繊維用の大麻はヘンプ(Hemp)と呼ばれることが多いです。実際のところ、大麻は実は日本人にとっては非常に身近で大切にされてきた植物であることがわかっています。
日本国内でもとちぎしろという大麻品種は、精麻という繊維を収穫するために、主に栃木県で栽培免許を申請している農家さんに限っては栽培が許可されています。この品種は陶酔作用のある成分がほとんど含まれていない品種で、海外の基準で言えば産業用ヘンプにカテゴライズされる品種になります。
大麻の可食部分(Edible)は?
実は、多くの日本人が、知らず知らずのうちに大麻を食べたことがあります。それは、七味唐辛子に大麻の種子(たね)が含まれているから。種は漢方では「麻子仁」と呼ばれてきました。今は、スーパーフードとして非常に人気が高くなっています。なお、大麻種子を絞ると上質な油脂(必須脂肪酸やミネラルが豊富)が採れ、ヘンプオイルと呼ばれています。種子はヘンプシード、ヘンプナッツなどの名前で人気を得ています。
食品としてはヨーロッパや北米で人気で、アメリカなんかは2018年末に、産業用ヘンプの栽培に関する法律改正があり、合法的に栽培が可能になったようです。(ヨーロッパやカナダでは以前より産業用ヘンプ栽培は合法。)
大麻の繊維(Wearable)利用は?
大麻の繊維としての利用の歴史は長く、日本では縄文時代の貝塚から大麻繊維が見つかっていますし、長いこと庶民の衣類を担ってきたのは大麻だったようです。
現在では、化繊や安価な綿が一般衣料の主要な原料ではありますが、大麻はエコ・サスティナブルな観点から再評価されています。ヘンプコットンの衣料は、フェス系のブランドやサスティナブルなライフスタイルブランドなどでたくさん利用されています。
もちろん、着物などでも極一部ではありますが、大麻が使用されているものもあります。
とは言え、世界的に栽培が禁止傾向にあった植物ですので、栽培量は限定的です。量が少ないので品質についても粗悪なものが多く、品質の低い繊維については非常にチクチクした肌触りがあり、着る人を選んでしまうというのは難点です。もちろん、品質の良い糸は非常によいシャリ感があり、サラッとした肌触りが良いです。
ヘンプの今後
大麻は edible & wearable な特性以外にも、カンナビノイドという薬効成分を含んでいます。ヘンプについては、CBDという陶酔作用がないのにもかかわらず薬理作用のあるカンナビノイドが多く含む品種もあり、それらは健康食品や処方薬として利用が始まっているようです。
前述のアメリカでの産業用ヘンプの法改正では、このCBDを栽培後に合法的に利用することができるようになり、今後はヘンプの栽培利用の幅が広がることになります。
非常に楽しみな植物の一つです。