Linen(リネン)|食える(edible)着られる(wearable)繊維植物

植物は衣食住において最も人間が恩恵を受けている、なくてはならない存在です。

食料の基本ベースとなるのは、植物の種子や地下茎などに蓄えられた炭水化物で、食物繊維やミネラル・ビタミンもまた多くは植物から摂取しています。衣料においてはもちろん、科学技術の発展で化学繊維が発明される以前は、麻や木綿が繊維製品の中心でした。

繊維植物を色々と調べていくと現状ではマイナーな素材の中にも、実は凄いパワーを秘めているものが存在することがわかります。マイナー素材は変わった特性を持つものが多く、面白いです。

今回は「Edible(食用)でWearable(衣料)な植物」の中で最もメジャーなリネンについてご紹介。

Linen/Flax(リネン/フラックス)

リネンは日本では「亜麻(あま)」と呼ばれる植物です。亜麻色というのはヨーロッパリネンの栗色のことを指します。ゴールドではないらしい。 英語ではリネンは布生地を指し、その原料である植物そのものはフラックスと呼ばれます。なおリネンは原料の産地やレッティング・デガミングの方法により素材の色味に影響があります。

繊維の特徴としては、独特の艶がありテロんとした印象。布帛では吸放湿性が高く、夏の衣料のイメージが強い。糸は固めでニットよりも布帛での利用が多いです。湿式紡績による細番手の糸を利用すると、非常に肌触りよい。シワになりやすいのも特徴。

※ちなみに日本では、「麻」と言うのは靭皮繊維(茎の表皮)を利用する植物をまとめた概念のようなもので、繊維素材となると苧麻(ラミー)や大麻(ヘンプ)や亜麻(リネン)、サイザル、ジュートなどが含まれます。

リネンはヨーロッパや日本では北海道あたりの涼しい気候で育てることができる植物で、麻の中では繊維が細く長い特徴を持ちます。ヨーロッパでは最も長い歴史を持つ繊維素材で、アンティークな生地やレースにも多く使われています。

このリネンは、種子を絞った油が「亜麻仁油(アマニユ)」として食用として使えます。オメガ3という必須脂肪酸が豊富ということで、健康嗜好な人々から人気。ただし酸化しやすいのが注意点。また熱に弱いのでサラダオイルとしてがベターとのことです。

また、油は食用以外にも、家具などの木材のオイル仕上げに使うこともできます。(油が乾性油のため・食品用もオイルフィニッシュに利用できるようです。)

繊維用亜麻と種子用亜麻がある!

エディブルでウェアラブルな植物なのですが、万能な植物ではなく、 繊維用の亜麻と種子用の亜麻があるようで一つの作物で2つの収穫物を得ること(Dual parpose)はできないようです。エコな観点からは少し残念ですね

麻と分類されるのヘンプと似ていることから比べられるリネンですが、あまりエコだと言われないのはこういうところが要因かと思われます。

なお、茎は使いみちが少ないようです。もっというと、繊維を取らないoilseed flaxの場合は残った茎を土にすき込んで緑肥にしようにも、表皮繊維と複雑に絡まり合ってしまい処理ができない問題が起きるようです。燃やして炭にするしかなく(緑肥にできないためもったいない)、「ストロー(茎)問題」とか言われる始末です。https://flaxcouncil.ca/growing-flax/chapters/flax-straw-and-fibre/

 

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